近年のジュニアサッカーの過熱ぶりに少しだけ立ち止まって振り返る必要があるかなと最近思っています。
私がサッカーコーチとしてこの仕事に着いたのは2006年4月のことでした。
この頃を振り返ると・・・
2006年といえば、イナバウワーが流行語、オシム日本代表監督就任、ハンカチ王子、ケータイ小説なんかが流行った年でもあります。
あっという間に、十数年が経ち、走ってきたな〜と振り返ることができます。この頃は今と違ってジュニアサッカーの環境も全く今とは違いました。
今でこそ定着した8人制ですが、11人制で普通にプレーしていましたしリーグ戦なんてものはありませんでした。夏に全日本少年サッカー大会があり、東京でいえば冬にかけてさわやか杯という東京都大会があると言った感じでした。
サッカーチームも増えましたし、サッカースクールもサッカーに関わるメディアも増えました。スマートフォンの普及により今は様々な情報を、得やすいタイミングで手に入れることができます。
今、情報の受け手である大人たちは、さまざまな情報を手にして、すごく迷いながら、そして不安な気持ちを抱えつつ、子どもたちを様々なサッカースクールやサッカーチームに通わせているんじゃないかなと思っています。
最近こんなツイートが流れてきました。
我が家は受験とサッカーの課金ゲームには参加しないと決めていて、経験・体験に投資する方針のため今回のように家族でスペインに来てます。
— 小澤一郎(Ichiro Ozawa) (@ichiroozawa) 2022年9月13日
息子たちの練習参加もチーム練習が週2日なので週2回。1回約80分。
旅行(短期)のため詰め込みたくなりましたが我慢。サッカー以外のことも経験させます。 https://t.co/Rk8bdUAAtK
サッカーの課金ゲーム。
課金ゲームっていう表現はなんかあまり好きではないですよ。
この表現の対象としている人たちは、そもそもそんなつもりないですし、一生懸命なだけだと思います。そう信じています。
だから、そういう人たち(子どもにたくさんお金をかけている保護者の方々)には正しい情報を得てほしいと思っています。これから示す研究をご覧いただければと思います。
アメリカの論文ユタ州立大学の研究者トラヴィスドルチェ氏は親が子どものスポーツにお金をかけることで子どもたちの楽しみにどのような影響与えるかを調査しています。
多くの保護者は子どもたちに良い環境を与えよう大好きなサッカーをプレイしてもらおうと考えるために、たくさんのお金を子どもたちに投資しているわけです。
お金をたくさんかけると保護者は子どもに対して多くのリターンを求めるようになってきます。
このような関係性を調べたのがこの研究です。
この研究の結論を要約すると、
「世帯収入に占めるスポーツの支出割合が高くなるほど、子どもが、より重圧を感じる傾向にある」
ということです。
長くサッカーコーチをしているとこのような保護者に幾度となく出会っている気がしませんか?
投資というのはお金もそうですけど、時間も含まれると思うんですね。
すごく期待が大き過ぎたりすると子どもはスポーツを純粋に楽しめなくなってしまうんです。私自身とても勉強になった研究でしたのでご紹介いたしました。
私はサッカースクールでコーチをしていますが、ここ数年で平日全部サッカーやってます!っていう方によくお会いします。そういう方に出逢ったら、「うちやめたらどうですか?」って言っちゃっています。「絶対よくないですよ!」って。
「こころも体も疲れちゃいますし・・・」と。こんな話をしているとリアクションは 2通りで「そうですか・・・、確かにそうですね・・・」となる方と、「子どもが好きなことをたくさんやらせてあげたいんです」っていう方がいます。
自由な遊びの中ではいいと思うんですけど、それは子どものためでは・・・。
こういうことがここ数年本当に増えてきていると思いますので、立ち止まってこう言ったことを含めて考えていきたいと思います。
論より証拠ということで今回はこのような研究をご紹介してみました。
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今回ご紹介した研究の原文をご覧になりたい方はこちら
Travis Dorsch(https://scholar.google.com/citations?user=TvDlb4AAAAAJ&hl=en)
引用数も多い論文でした。
この研究に辿り着いたのは以下の本です。
ご興味ある方はどうぞ。
《なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか》
なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 新品価格 |
スポーツと保護者がどのように関わるか、そんなことのヒントになると思います。
サッカーのちからで未来をあかるく!
猪俣がお届けしました!